第251章

「葉……葉山アシスタント、相変わらず仕事が早いのね……」

電話の向こうから、江崎鏡の少し驚いた声が返ってくる。

葉山言は真面目くさって答えた。

「はい。それで、若奥様。古村社長のお手伝いを、二日ほど会社でお願いできませんか。妻の出産が終わり次第、すぐ戻ります。これも社長のお考えでして……ご存じのとおり、社長は誰のことも信用なさらない。信用できるのは、あなたと俺だけですから」

――あなたと俺だけ?

その言葉を聞いた瞬間、横で盗み聞きしていた古村陽平のこめかみがピクリと跳ねた。

葉山言に頼んだのは、江崎鏡を会社に呼び戻すための口実を考えろ、という話だ。

自分を売れなんて、一言も言っ...

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