第256章

その瞬間、江崎鏡の頭の中に、ぱっと光が走った。

母がどうして急に古村陽平へマフラーを贈ったのか――ようやく腑に落ちたのだ。

あれは、鏡が何日も寝る間を削って、必死に編み上げたものだった。鏡はずっと、陽平に頼みごとをするから仕方なく礼を渡したのだと思っていた。

けれど、陽平のひと言が背中を押した。

母は、陽平に「気づけ」と伝えたかったのだ。

――そろそろ、片をつけなさい。

そして、陽平にもはっきり示したかった。自分という義母は、彼を婿として認めているのだと。

ただし、最後にどう動くかは、結局のところ陽平次第。

そう思った途端、鏡は痛いほど理解してしまう。秋澤月子だけが、いつだっ...

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