第258章

「江崎清は、もう俺を疑い始めてる。……明らかに警戒してるな」

そう思った瞬間、古村陽平は思わず苦笑した。

「俺はてっきり、あいつが一番――俺にとって味方でいてくれると思ってたのに。今となっては……」

言いかけて、古村陽平は口をつぐむ。

今になって思う。自分に何も隠さず向き合ってくれていたのは、江崎鏡だけだった。

喧嘩をするときも、愛し合っているときも、江崎鏡はいつだって真っ直ぐだった。だが江崎清は、日を追うごとに分からなくなる。あれは本心なのか、それとも作り物なのか。

――最初から、俺の前で芝居を打っていただけなのか。

そこまで考えて、古村陽平の胸の奥に黒いものが渦を巻いた。

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