第267章

脅し文句のつもりだったのに、江崎鏡の目に映った江崎清は、涙をこすりながら目尻を赤くしていた。

それ以上に――全身が震えている。止めようがないほど、ぶるぶると。

その怯えは、鏡の胸に生々しく刺さった。いつだったか、自分もこうだった。何度も何度も捨てられて、裏切られて……。

鏡は視線を上げる。清はまだ泣き止めず、床に這いつくばったまま、逃げ場を失っていた。

「立て」

ふいに、頭上から声が落ちてきた。

顔を上げると、江崎鏡が手を差し出し、目の前まで来ている。

それが、江崎清にはいっそう苦痛だった。胸の奥がぎりぎりと締めつけられる。

「江崎鏡、あんたの偽善なんていらない!」

「その...

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