第271章

「いい子だ。行っておいで。自分の幸せをつかみに行け」

「おまえがどんな決断をしても、じいちゃんは味方だ」

古村のおじいさんはうなずき、目いっぱいの慈愛と祝福を湛えた。江崎鏡はもう古村陽平に寄りかかる必要なんてない。ましてや三年前、怯えながら訪ねてきた、あの小さな女の子でもないのだ。

目尻を赤くした江崎鏡は立ち上がり、深く頭を下げた。

それから踵を返して部屋を出る。そっと扉を閉め、階段を下りる足取りは軽く、それでいて揺るがない。踏みしめる一段一段が、新しい希望の上に置かれていくみたいだった。

……

古村家の本家を出た江崎鏡は、運転手に迎えを頼もうとしていた。

ところが門の前には見...

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