第282章

数日ぶりに顔を合わせた江崎鏡は、古村彩の血色がさらに悪くなっているのを見て、思わず駆け寄った。

「彩、最近……勉強、きついんじゃない? 無理してない?」

そのとき彩は、経営管理の本を手にしたまま目を落としていた。鏡が古村家に来たのを見た瞬間、胸の奥に言葉にできない感情が湧く。

古村家がここ最近荒れている。その原因の半分以上は、この女にある——彩にはそう思えてならなかった。

それなのに運だけはいい。兄はかばうし、天野尋も味方をする。

いまでは、存在感も人脈もある母親まで手に入れた。これから先、自分の立場は江崎鏡より下になる。そんな予感が、いやというほど現実味を帯びてくる。

彩は口元...

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