第288章

「後部座席で横になって寝るの、あなたのほうじゃない?」

過去のごちゃごちゃした思いをいったん脇に置いてみると、江崎鏡は心から思った。今の古村陽平は、ちゃんと大人になった。責任も背負えるようになった、と。

だから、つい冗談を投げたのだ。

古村陽平は照れたように笑った。けれど瞳の奥まで疲れが溜まっていて、余計なことは言わない。後部座席に横になるなり、ほどなく眠りに落ちた。水もほとんど口にしていない。食べ物にも目を向ける余裕がない。

鏡には分かっていた。陽平は、古村彩のことが心配なのだ。

そして陽平自身も、自分の肩にかかる責任の重さを分かっている。だから、簡単には気を抜けない。

体が許...

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