第295章

我を忘れかけた瞬間、古村陽平は本気で、その一線を越えて江崎鏡と何かを起こしてしまいたいと思った。

けれど、かわいそうなくらい彼にしがみつき、恐る恐る彼のキスに合わせてくる鏡を見た途端、古村陽平の胸がふっと緩む。動きを止め、それでも名残惜しそうに、江崎鏡の唇へ素早く何度か啄むように口づけた。

古村陽平は、我を失って頬を赤く染めた江崎鏡を眺める。まるで、自分だけのためにある芸術品を鑑賞するみたいに。――最初から、俺たちは運命だった。最初から、一緒にいるべきだった。

そう思うと堪えきれず、古村陽平は江崎鏡をぎゅっと抱き寄せた。

江崎鏡には、古村陽平がこのまま何をするつもりなのか分からない。...

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