第299章

その言葉を聞いた瞬間、古村陽平の胸に、ひやりとした嫌な予感が走った。

葉山言の目利きは信用している。長く自分のそばにいる男だ。確信のないことを、軽々しく電話で報告してくるようなタイプじゃない。

となれば、問題は美術部の「例の絵」だ。

どうして、あの絵が江崎鏡の作風と、あそこまで似ている?

江崎鏡が古村家で働いたといっても、秘書部にいたのはほんの数日。自分が入院していた間の業務報告も、古村陽平はすべて目を通している。

断言できる。江崎鏡が美術部の仕事に手を出した形跡はない。

むしろ彼女自身、余計なところに関われば面倒になると分かっていて、極力距離を取っていたはずだ。

それなのに、...

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