第305章

「見てて思うんだけどさ、あんたたちってほんと、どっちもどっちで意地張ってばっかり。譲る気ゼロじゃん。言い換えれば、幸せボケしてるってこと。恋愛もできない独り身のこっちの身にもなってよ!」

言い終えると、古村彩はやれやれと肩を落とし、ため息をつきながらベランダを出ていった。振り返りもしない。

古村陽平はその場で、ほんの一瞬、固まった。

古村彩ってやつは本当に切り替えが早い。数日前まで死ぬだのなんだの言って家出までしたくせに、天野おじいさんに連れられて薬草を摘みに行っただけで、何かを全部飲み込んだみたいな顔をしている。

自分が勝手に心配しすぎただけか、と陽平は苦笑した。だが思い返せば、彩...

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