第308章

そんな秋澤月子を、古村恵子は見たことがなかった。

とりわけ江崎鏡の名が出た瞬間の気配は、まるで噛みついてでもくるみたいで。

恵子はぎょっとして、唾を何度か飲み込み、取り繕うように言い返した。

「な、な、なに言ってるのよ。でたらめ言わないで」

「お爺さんもいらっしゃるのに。そんなの、古村家全員に恥をかかせるつもり?」

「秋澤月子、わたしからも言っておくわ。古村家を甘く見ないで。娘が嫁いできたのは、向こうが高望みしただけよ」

慌てた色は顔にありありと出ている。平静を装っても、秋澤月子には一目でわかった。台所で見た光景が、都合よく幻だったはずがない。

薬を入れたものは入れた。認めない...

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