第314章

「斉藤月?」

「エラス?」

「どうしてあなたたちが?」

斉藤月は、古村陽平の母親が一筋縄ではいかない相手だと、よく分かっていた。

その表面だけの笑みの奥に、目に見えない刃が潜んでいることも。

「古村夫人、こんばんは」

「こんな遅い時間に押しかけてしまって、本当に失礼しました。ただ……古村おじいさまと少しお話できたらと思いまして」

斉藤月は相変わらず無表情のまま、それでも礼儀だけは崩さず小さく会釈した。隣のエラスも同じように頭を下げる。

すると古村恵子は、間髪入れずにエラスへ歩み寄り、その腕に自分の腕を絡めた。

「こんな時間にお話?」

「怪しいわね」

そう思わないでもない...

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