第317章

古村のおじいさんは、ここ数日ずっと意識が戻らないままだった。

その間に古村彩も戻ってきて、古村陽平と交代で祖父に付き添う段取りを話し合ったらしい。

古村恵子も「一緒にお世話する」「付き添いの人も探す」と口では熱心に言っていた。けれど古村陽平は首を縦に振らず、自分が面倒を見ると決めたという。

江崎鏡には古村陽平の真意は読めない。ただ、古村恵子に任せても祖父の世話がまともにできるとは思えなかった。

どうせ体裁を取り繕っているだけだろう。陽平が警戒するのも当然だ――そう考えていた。

けれど翌朝早く、家に戻ってきた鏡は、すべてが「なるほど」と腑に落ちることになる。

「おかえり」

物音に...

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