第236章

医師と看護師は顔を見合わせた。次の瞬間、江崎鏡の同意も得ないまま、天野尋を呼び入れる。

この病院で天野尋は、いわゆる「顔が利く」側の人間だ。わざわざ敵に回す者など、そう多くない。

幸い、江崎鏡はまだ手術を始めていなかった。今なら――引き返せる。

「鏡!」

ベッドの上の顔が江崎鏡だとわかった途端、天野尋は慌てて駆け込んできた。その空気を察し、医師と看護師たちは気を利かせて静かに下がっていく。

「……なんで、あなたなの」

江崎鏡は冷えた表情のまま、起き上がろうともしない。

天野尋は事情が飲み込めず、それでも必死に言葉を重ねた。

「鏡、また古村陽平とケンカしたのか?」

「子どもは...

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