第327章

古村陽平は江崎鏡を連れて、桜華台へ戻った。

田中さんはよほど意外だったのか、慌てて駆け寄り、江崎鏡にあれこれと気遣いの言葉をかける。江崎鏡もそれなりに愛想よく受け答えはしたが、寝室に入った途端、また表情がすっと冷えた。

古村陽平はその様子を見て、叱られた子どもみたいにその場で立ち尽くす。

ここ数日、江崎鏡は桜華台へ戻って、いくつか荷物を取ってこようと思っていた。

自分でも不思議なくらいだ。古村陽平ときっぱり線を引こうとするたびに、なぜか二人の間には、切れそうで切れない糸が残ってしまう。

今回の理由は、江崎鏡のスケッチブックだった。

ベッドサイドの引き出しに、ずっと入れていたはずの...

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