第330章

「彼の選択は尊重します」

そう言い切ると、江崎鏡は席を立った。胸がきしむこの場所から、もう出ていくと決めたのだ。

気持ちを落ち着かせる時間が要る。これから自分がどこへ向かうのか、考えるための距離も要る。

道具みたいに使われる感覚――もううんざりだった。傷つくのも、もう十分。

江崎清は、去っていく江崎鏡の背中を眺め、口元に得意げな笑みを浮かべた。

この三角関係の勝者は、結局自分だ。そう確信していた。

江崎鏡が出口へ向かった、そのとき。

入ってきた古村陽平と真正面からぶつかりそうになる。彼の険しい気配に、江崎鏡が何を言われたかなど察しはついたのだろう。古村陽平は迷いなく歩み寄り、江...

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