第334章

「古村おじいさんはどうあれ、古村陽平には大きな期待をかけているんです。古村家の跡取りとして、地位も将来も、どれほどのものになると思ってるんですか。叔父さんと叔母さんが、本当にあの子を見逃すとでも!」

古村恵子は江崎鏡の甘さを知っていた。江崎鏡が古村陽平に抱いている情も、痛いほどわかっている。

この言葉なら、きっと刺さる。そう確信していた。

前の件は自分の思いどおりに転んだとしても、傷を負うのは古村家だ。江崎鏡はきっと自分を責める。自分が古村陽平を追い詰めたのだと。

案の定、古村恵子の一手は効いた。江崎鏡の足取りが、すうっと遅くなる。やがて、振り返った。

江崎鏡は古村恵子を見据える。...

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