第337章

江崎鏡は、ふいに自分の身体までぐにゃりと力が抜けていくのを感じた。

抗う間もなく瞼が落ち、そのまま雲市の川辺で意識を手放す。キーンと耳鳴りがしたかと思うと、ひそひそとした足音や、誰かの助けを呼ぶ声、救急車のサイレンが――耳元で膨らみ、やがて際限なく遠のいていった。

掴もうとしても掴めない。霧みたいに、ただ曖昧で。

子どもがどうなったかを考える暇すらなかった。

脳裏に浮かんだのは古村陽平の顔。墨が滴りそうな黒い瞳と、何もかもどうでもいいと言わんばかりの淡い表情。

自分が愛した人も、自分を愛してくれた人も、結局は古村陽平という存在ひとつに敵わなかった。

手に入らないまま、こんなにも長...

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