第342章

その光景を目にした瞬間、江崎鏡はふいに鼻の奥がつんと痛んで、堪えきれず顔を背けた。

秋澤月子はそれに気づくと、慌てて娘を引き寄せ、胸が痛むというふうに古村陽平へ言い放つ。

「古村陽平。目が覚めたなら、鏡は連れて帰ります」

「治療費は全部こちらで払いました。この件は……鏡に代わってお礼を言います。でも鏡は、あなたが目を覚ますのを待って、ずっとろくに眠れていないんです。休ませないと」

言い終えるや否や、秋澤月子は踵を返し、江崎鏡の手を取って病室を出ようとした。

古村陽平が目を覚ました。それだけで江崎鏡は胸のつかえが下りた。自分も母に続いて出ていくつもりだった。

ところが、そのとき。

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