第352章

「父さん、どうして……」

高槻元成が問いかけようとした、その瞬間だった。高槻昌弘が放つ威圧感に呑まれ、言葉が喉の奥で凍りつく。

上座に座る老人は、髭も髪も半ば白い。だが肩幅は広く、眼光は鋭いほどに冴え、威厳の光を宿していた。たるみがちなはずの顔には、むしろ珍しいほどの血色が差している。

「高槻元成。跪け!」

昌弘の声は、まるで大鐘だ。腹の底から響くような豪胆さが、天井を突き破りそうな勢いで迸る。

元成はすっかり黙り込み、逆らうこともできず、言われるまま膝をついた。

アリスも顔色を変え、慌てて姉に視線を送る。だがエラスは一度もこちらを見ない。終始冷えた表情のまま、まるで誰かに八百万...

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