第353章

「この写真、まだ捨ててなかったのか?」

古村陽平の問いかけには、どこかからかうような響きがあった。表情は相変わらず動かないのに、斉藤月は彼の眉がわずかに跳ねたのを見逃さなかった。

机の上にあるのは、幼い頃の古村陽平と斉藤月が並んで写った一枚。

この前、江崎鏡が来たときに見つけたあの写真だ。古村陽平もそのとき気づいて、ひどく意外そうにしていた。斉藤月も「捨てる」と口では言っていた。

古村陽平だって、あれが口先だけだと分かっていたのだろう。

そして今、やっぱり――という顔をする。

「忘れてただけです。今、捨てます」

斉藤月は負けじと、ぎこちなく写真をつまみ上げた。少し気まずい返事を...

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