第355章

古村家の一連の騒ぎは、正直、神経をすり減らすばかりだった。

江崎鏡は寝室を出た。母と少し話そうと思って母の部屋へ入ったのに、そこに人影はない。

秋澤月子は浴室でシャワーを浴びていたらしく、物音に気づくと水を止め、バスタオルを巻いたまま出てきた。

「鏡? どうしたの、こんな時間に」

江崎鏡が夜遅くに母を訪ねることは、普段ほとんどない。わざわざ来たということは、きっと何かあるのだ。

秋澤月子は娘の手を引き、ベッドに座らせた。甘やかすように頭を撫で、やわらかな声で言う。

「今日、古村家で何があったかはね……だいたい把握してるわ」

「それにしても古村のおじいさん、さすがよ。あの女に自分...

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