第359章

江崎鏡は仕事に追われていた。

古村家のほうも、のんびりしている暇などない。

古村おじいさんは退院するなり、古村恵子を雲市から追い出そうと躍起になった。あんな汚れた代物など、視界に入れたくもない。まして今は、あの女の名を耳にするだけで頭痛がぶり返す。

とはいえ古村恵子は、古村陽平の父との婚姻関係を解消していなかった。

名目上は古村家の奥様。

ならばこの家に、居場所が残っているのも事実だ。

その理屈に古村恵子が辿り着いたのは、ずいぶん後になってからだった。だったら、と彼女は古村おじいさんと真っ向から決裂することを選ぶ。どうせ行き着く先は同じ。古村家が何より体面を重んじるのなら、いっそ...

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