第369章

あれこれ考えた末、江崎鏡は秘書に向かって言った。

「大丈夫です。ここで見送っていただければ。それに、車で来ていますから」

そう言い終えると、江崎鏡は秘書の背後へ視線をやった。じっと数秒、目を凝らす。けれど何も見えない。結局――見間違いだったのだろう、と自分に言い聞かせるしかなかった。

緊張しすぎただけ。きっと、そう。

胸のざわつきは消えないまま、それでも江崎鏡は秘書に別れを告げ、エンジンをかけた。高槻家を出て、夜の道を一定の速度で西へ走る。

そのときだった。

不意に、後方の車から強烈な光が弾けた。ヘッドライトが目に刺さり、江崎鏡は思わずブレーキを踏む。停車した瞬間、後ろの車もぴた...

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