第376章

江崎鏡は、古村家の好意に甘えるつもりはなかった。

けれど以前、古村おじいさんに「このカードの金は必ず使え」と念を押されていた。だから江崎鏡は自分の給料をすべてそのカードへ振り込み、代わりに自分の給与口座には――

あの金を残した。

古村陽平の世話をしていた頃、古村家から「ありがとう」と渡された、あの謝礼。

江崎鏡はずっと、古村家から一銭たりとも得をしようなんて思ってこなかった。

実際、古村家の金に頼る必要もなかった。離婚はまだ成立していないとはいえ、生活は終始、自分の給料だけで回してきたのだから。

それなのに。

なぜ、カードが突然凍結されたのか。

海外にいる古村陽平の差し金――...

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