第378章

その頃、古村彩は怒りに任せて電話を叩き切った。

兄が何日も連絡してこないと思ったら、久しぶりの連絡がこんなどうでもいい用件。挙げ句の果てには、江崎鏡という女のために腹を立てているだけ。

ほかに用はないわけ?

海外からせっかく戻ってきたのに、真っ先に会うべき相手はわたしじゃないの?

そう考えた瞬間、筋金入りの兄好きである古村彩の胸の奥で、ぷつりと何かが切れた。奥歯をぎり、と噛みしめる。

ちょうどそのとき、着信。

彩は流れるように通話を取った。向こうが開口一番、声をかけてくる。

「もしもし、彩? どう? うまくやれた?」

「やっぱり彩はお母さんの味方よね。お母さんは誰よりも彩が頼...

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