第384章

「なに……!」

江崎清は、まさか古村家の社長ともあろう人間が、入院費すら誰も払っていないほど哀れな状況にあるなんて、夢にも思わなかった。

やらかした。完全に読み違えた。

もう少し時間を置いてから来ればよかった。こんな、引くに引けない空気にならずに済んだのに……。

それで、この治療費を自分が払うのか、払わないのか。

ただでさえ、いまの自分は火の車だというのに。

江崎清は一瞬言葉に詰まりながらも、目の前の江崎鏡に弱みを悟られるのだけは耐えられなかった。だからわざと顎を上げ、いつもの――天下を取ったみたいな令嬢面を作って言い返す。

「払えばいいんでしょ、払えば!」

「江崎鏡、いまこ...

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