第388章

「――あの人は、もうあなたの妻じゃない」

ふいに、江崎鏡が口を開いた。

「離婚届に判を押した、その瞬間から。あなたの妻じゃないの」

「ここで泣き喚いたって無駄よ。芝居がかった真似はやめて。あの人のお金も、会社も、何もかも……江崎明、あなたには一銭だって渡らない。いい加減、諦めなさい」

江崎明へ向けられた声は氷のように冷たく、空気まで凍りつく。

その言葉に、場にいた全員が一瞬固まった。江崎明は、江崎鏡がまた拗ねているだけだと勘違いする。父親として「不孝だ」と責め立ててやろう――そう口を開きかけた、そのとき。

背後から荒々しい力で引き剥がされた。

「古村社長、傷に障ります!」

葉...

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