第392章

「もしもし?」

古村彩は古村家で仕事をしていた。

ここしばらくは、古村陽平の代わりに、あらゆる案件の処理を一手に引き受けている。

陽平がいったい何に追われているのか、彩は知らない。知ろうとも思わない。

どうせ、あの兄は江崎鏡のほうばかり向いているのだから。

いくら言ったところで、何になる?

ただ――彩は思いもしなかった。見知らぬ番号からの着信に出たら、相手が「知っている女」だったなんて。

「……あなたか?」

「何の用?」

江崎清にも、彩の敵意は電話越しに伝わってくる。

本来なら、二人は危うく親戚になるところだった。そうでなくても、愛憎まじりにぶつかり合った時期がある。しか...

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