第397章

江崎鏡がそこまで言うのなら、高橋さやかもこれ以上は言い返せなかった。

仕方なくこくりとうなずき、困ったように言う。

「じゃあ、電話に出て。わたしは先に仕事に戻るね」

江崎鏡も笑って、高橋さやかにうなずき返した。

高橋さやかが去った途端、江崎鏡の笑みは一瞬で顔に張りついたまま固まる。最近の彼女は、何もかもが無理やりだった。笑うのも、食べるのも、――生きていることさえ。

画面に表示された登録名は「高槻おじいさん」。

江崎鏡は長く息を吐き、通話ボタンを押した。

「もしもし」

「鏡、わしだ。……じいさんだ」

名乗った瞬間、電話の向こうでわずかなためらいが落ちる。けれど高槻おじいさん...

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