第400章

古村恵子も、さすがに焦りが滲んだ。

この手の言いがかりは相手によっては効く。けれど古村陽平や斉藤月みたいな人間には、拳を綿に打ちつけるようなものだ。

効かないどころか、余計に波紋を広げる。

斉藤月は江崎鏡の前にすっと立ち、正面から古村恵子を見据えた。いかにも筋を通すと言わんばかりの顔つきで。

鏡も意外だったのだろう。潤んだ鹿のような瞳で、月をまっすぐ見つめている。

古村恵子は、突然向けられた敵意の匂いを嗅ぎ取ったのか、表情を変え、そして大きく息を吐いた。

「斉藤月、どういうつもり? 年上のわたしに」

月は鼻で笑い、両手をポケットに突っ込む。

「年上にもいろいろいる。年上ってだ...

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