第401章

「違う」

「このドレッサーがちょっと古くて。家に置いておくと目障りだから、捨てようと思っただけです」

「斉藤月、どうして戻ってきた。また何か言い残したのか?」

本当は、もう言い残したことなんてない。

斉藤月が江崎鏡に無理をさせているのは、エラスを傷つけたくないからだ。そんな選択が賢いはずもない。

たださっき、車のキーをソファに置いたまま忘れただけ――それだけのことだった。

だが、いまの江崎鏡の挙動がどうにも怪しい。斉藤月は視線で彼女を上から下まで素早くなぞり、口を開いた。

「そのドレッサー、お前のか?」

江崎鏡は首を横に振り、慌てて高橋さやかのものだと言った。

面倒ごとは、...

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