第407章

江崎鏡がそう言うのを聞いて、桐原梅子が真っ先に浮かべたのは、やはり喜びだった。

いまの江崎鏡の状況なら、どう考えてもやんわり断られると思っていたのに、相手は即座に承諾した。――やっぱり、あのとき見込んだとおりの人だ。

「鏡、本当によかった。なんてお礼を言えばいいのか……」

「安心して。在職中は給料を3倍にする。それから妊娠中で身体もきついでしょう。よほど急ぎの案件じゃなければ、在宅でいいの。出社も好きな時間で構わない」

桐原梅子は、またしても破格で魅力的な条件を提示した。江崎鏡は稼いで子どもを育てなければならない。断る理由など、最初からなかった。

友好的に話をまとめ、通話を切る。す...

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