第100章

昼食が半分ほど進んだ頃、新谷音羽は胸の奥にむかつきを覚え、席を立ってトイレへ向かった。

彼女が出ていった、その直後。

リビングの外から、弾んだ声が飛び込んでくる。

「旦那様、奥様、静子様がお戻りです!」

声が落ちきらないうちに、ベージュのトレンチコートを羽織った、仕事のできる雰囲気の女が、紙袋をいくつも提げて入ってきた。

整った眉目に、ぱっと花が咲くような笑顔――蒼井沢言の亡き兄の妻、蒼井静子だった。

「お父さん、お母さん」

静子は荷物を置くと、蒼井清香をぎゅっと抱きしめ、次に蒼井明司へ明るく笑いかける。

「海外から戻ってきたの。お土産、いろいろ持ってきたよ」

「この子った...

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