第108章

星野結月は、彼が崩れ落ちるさまを眺めて満足げに笑った。

そして蒼井翼のポケットからDNA鑑定書を抜き取り、ひらりと――まるで紙くずでも捨てるみたいに――彼の足元へ放り投げる。

「さあ、好きに処分していいわよ」

甘く絡みつく声。けれど、その中身は毒だった。

「あなたがそれを捨てるなら、あなたの殺人犯の母親は、目を覚ましたあと真実を知って……完全に壊れるか、死ぬかもしれない。そういうの、見届ける覚悟があるならね」

言い切ると、星野結月は蒼井翼を一瞥すらしない。ハイヒールの音を響かせ、くるりと踵を返す。

艶めいた背中が廊下の奥へ溶けるように消えていった。

蒼井翼は硬直したまま俯き、足...

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