第111章

金田恵理は、その光景に腰を抜かしそうになった。みるみる広がっていく血の染みを見つめたまま、顔に貼りついていた凶相さえ固まっている。

「ち、違う……私のせいじゃない!」

支離滅裂に後ずさりし、指を突きつけて新谷音羽を盾にする。

「この子が勝手に足を滑らせたのよ! そう、転んだのは自分で――!」

「医者を呼べ! 早く!」

蒼井翼が喉を裂くように叫び、駆け寄った。音羽を抱き上げようとして、けれど下手に動かせば傷を深くする。伸ばした手が宙で迷い、指先が震える。

騒ぎを聞きつけて駆け込んできた医師と看護師が惨状を見て、顔色を変えた。

救急カートがガラガラと床を鳴らし、あっという間に音羽の...

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