第13章

大衆酒場の喧騒――音楽も笑い声も、林翔太の詰問が飛んだ瞬間、まるで誰かに音量をゼロへ落とされたみたいにすっと引いた。

集まった視線が、新谷音羽の赤い目尻と、林翔太の鉄みたいに青い顔のあいだを行ったり来たりする。

浅田美晴がすぐに一歩前へ出て、か弱い仕草で林翔太の腕に縋りついた。驚いたふうの表情は、わざとらしくない程度に整っている。

「翔太、怒らないで。音羽さん、飲みすぎただけだよ。ほら……前に常盤ジュエリーで働いてたときも、すごくストレス抱えてたし。だから、変なこと言っちゃって……」

声量は大きくない。なのに「常盤ジュエリー」という単語だけが、狙い澄ましたみたいにその場の全員の耳へ届...

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