第133章

喫茶店の古い木枠の窓が、外の喧騒をきっぱりと遮っていた。

新谷音羽は、とうに冷めきったコップを両手で包みながら、視線だけは一瞬たりとも窓の外――薄暗い旧い路地から離せないでいた。

時間が、焦げつくように引き伸ばされる。

夕闇の中に白川康平の姿が戻ってきた瞬間、胸の奥で張り詰めていた糸が、ようやくほどけた。

白川は喫茶店へ戻ってくる。顔色も歩き方も、表向きは何ひとつ変わらない。けれど眉間にだけ、拭っても落ちない疲れが滲んでいた。

「白川先生、いったい……」

音羽が立ち上がり駆け寄ると、問いが形になる前に、彼は穏やかに遮った。

「もう大丈夫だ。ちょっとした厄介事だよ」

白川は席に...

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