第135章

「蒼井社長……?」

電話の向こうの秘書が、彼の凍りつくような沈黙に気づき、恐る恐る声をかけた。

「続けろ」

蒼井沢言の声は嵐を押し殺した低さで、ひとつひとつの言葉が歯の隙間から絞り出されるみたいだった。血の匂いを孕んだ苛烈さが滲む。

「その金の出どころを辿れ。誰が絡んでいようが構わない。空をひっくり返してでも、裏に潜んでる奴を引きずり出せ」

通話を切った瞬間、蒼井沢言の周囲の気圧は底まで落ちた。

彼は病室の外へ戻る。

長椅子に座る新谷音羽は、魂が抜けたみたいに俯いていた。

蒼井沢言は眼底に湧き上がる殺意を無理やり押し込み、代わりに深い痛みへ変える。

隣に腰を下ろし、調べたこ...

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