第16章

林翔太の整った顔が一瞬で歪み、新谷音羽を信じられないものでも見るように睨みつけた。まるで、いま初めて牙を見せた兎にでも出くわしたみたいに。

「俺の注意を引くためなら、手段を選ばないってわけか」

怒りの奥で、ふっと笑う。笑っているのに、その目は毒を含んだ侮蔑に濁っていた。

「新谷音羽。これが最後の警告だ。くだらねえ小細工はやめろ。これ以上騒いだら――お前は永遠に俺を失うぞ!」

「失う?」

音羽は思わず吹き出した。鈴が鳴るみたいに澄んだ笑い声なのに、滲むのは濃い嘲り。

「ゴミでしょ。捨てるのが間に合わないくらいなのに、失うのが怖いわけ?」

その一言が、林翔太の滑稽な自尊心を真っすぐ...

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