第21章

言い終えるや否や、執務室のドアが押し開けられ、新谷音羽が出てきた。表情は一切動かない。

彼女は執務スペースに並ぶ、面白がっている顔をひととおりなぞるように見回し、最後に柳沢雲子へ視線を落とした。唇の端だけが、薄く嘲るように吊り上がる。

「未来の蒼井夫人、ですか」

くすり、と小さく笑う。冷えた声が、静まり返ったオフィスにやけに鮮明に響いた。

「柳沢さん。その話、どこから仕入れたんです?」

柳沢雲子は一瞬きょとんとしたが、すぐに得意げな笑みに戻る。

「聞くまでもないでしょ。星野さんと蒼井社長は小さい頃から一緒。幼なじみ。A市で知らない人、いませんよね?」

「だよな」

横から男のデ...

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