第30章

退院当日。新谷音羽が着替えを終えたところで、病室のドアが勢いよく開いた。

蒼井翼が花束を抱えて飛び込んでくる。人を埋めかねないほどの薔薇。その後ろには秘書が続き、両手に大きな紙袋をいくつも提げていた。

「叔母様!」

蒼井翼はベッドの脇まで駆け寄り、眉を下げて頭を下げる。

「ごめんなさい。俺のせいで、叔母様がネットで叩かれて……」

新谷音羽は花束を見て、思わず苦笑した。

「……これは……」

「お詫びです」

蒼井翼はずいっと花を押しつけ、秘書に顎で指示する。

「それからこれ。何買えばいいかわかんなくて、とりあえず全部買いました」

ベッド脇に積まれていく贈り物の山。燕の巣に阿膠...

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