第49章

胸の奥を、見えない手でぎゅっと握り潰されるみたいだった。細く、密やかな痛みがじわじわと広がって、新谷音羽は足元がふらつきそうになる。

ひと息、深く吸い込む。目の奥の熱を無理やり押し戻し、彼女は背を向けて棚の影へ逃げ込んだ。表情が崩れないよう整えてから、何事もなかったふりで通路へ戻る。

「どうしたの。ここで止まって」

わざと軽い調子で近づくと、蒼井沢言は彼女を見て、眉間がほんのわずかに動いた。

「いつからいた」

「今来たとこ」

新谷音羽は口角を上げる。いつもの笑顔に見えるよう、必死に形を作った。

「なに? そんなに真剣な顔して。何の話?」

声は明るいのに、視線は宙を漂ったまま。...

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