第61章

蒼井翼はようやく、そこに座っている人物をはっきり捉えた。新谷音羽のデスク周りをぐるりと一周し、感心したように舌を鳴らす。

「いやー、独占欲強すぎだろ。仕事中まで目の届くとこに縛っとくわけ?」

新谷音羽は言われた瞬間、頬がかっと熱くなって、視線を泳がせた。

蒼井沢言はペンを置き、音羽の背後へ回る。ごく自然に椅子の背へ手を置き――まるで所有を告げるみたいに、淡々と言い切った。

「音羽は妊娠した」

「はあ?!」

蒼井翼は目を見開き、今にも眼球が飛び出しそうだった。音羽のまだ平らな下腹を見て、次に沢言を見て、信じられない顔のまま叫ぶ。

「早すぎません?! 叔父上、どんだけ隠し玉なんです...

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