第67章

彼女は立ち上がり、適当な口実を作った。

「下で支払いしてくる」

会計票を手に病室の前まで戻ったとき、扉の向こうから会話が漏れてきた。

「さっき、なんであんなにへこへこしてたのよ? 私に言わせりゃ、土下座させて謝らせるべきでしょ!」

新谷理恵の不満げな声。

「お前は何もわかってないな!」

新谷邦夫の声はやけに張りがある。さっきまでの弱々しさなど欠片もない。

「今のあいつは蒼井夫人だ。強く出たら逆効果。こっちは一回、惨めに見せてやればいい。あいつは情に弱いからな。口を開かせて、蒼井沢言にプロジェクトを少しでも回させりゃ、会社は息を吹き返す!」

「ほんとに? あの子、そんなに都合よ...

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