第68章

蒼井沢言が選んだのは、静かな隠れ家的なお店だった。梧桐の並木が続く古い通り、その奥まった場所にひっそりと隠れている。

車が停まると、彼は身を乗り出すようにして彼女をまっすぐ見た。低く、耳に心地いい声。

「君がしたことは、何ひとつ間違ってない。音羽。誰かの過ちのために、自分を罰する必要はない。まして、罪悪感なんて抱かなくていい」

沈んだ眼差しは強く、揺るぎない。まるで錨みたいに、新谷音羽の胸の中で荒れ狂っていた波を、簡単に鎮めてしまう。

新谷音羽は小さく頷いた。

「親不孝」だという最後の自己疑念まで、すうっと霧散していく。

店内はしんと静かで、二人は窓際の席に通された。外には、小雨...

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