第70章

「本当に星野さんですよね! 私、品川玲子と申します。蒼井グループのデザイン部で働いていて、新谷音羽さんの同僚です」

品川玲子は相手が星野結月だと確信した瞬間、ぱっと顔を輝かせ、遠慮もなく向かいの席へ腰を下ろした。

「私も昨夜、友だちとこっちで飲んでて……たぶん星野さんをお見かけしたんです。蒼井社長と、新谷音羽さんと一緒に来られてました?」

星野結月の表情が、すっと沈む。

スプーンを握る指に、ぎゅっと力が入った。

いちばん惨めな瞬間を――新谷音羽の同僚に見られた。

品川玲子はその不機嫌を見逃さない。けれど、気づかないふりをして、勝手に言葉を重ねる。

「星野さん、誤解しないでくださ...

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