第71章

高校時代、好き放題にいじめていた相手――顔を上げることすらできなかった、あのいじめられっ子が。

いまさら自分に、しかもこんな場所で、露骨に不機嫌な顔を向けてくるなんて?

高橋恵美は苛立ちを隠しもせず、つかつかと歩み寄って新谷音羽の前に立ちはだかった。口元だけを歪め、ねっとりとした声を落とす。

「なに? 何年か見ないうちに、どっかの金持ちにでも拾われた? だからこんな店をうろつけるわけ? ……ていうか、その格好。買えるの? 無理して背伸びしないでよ。汚したらどうすんの。弁償できるの?」

新谷音羽は視線すら向けない。何事もなかったように身を翻し、別の棚へ行こうとした。

その徹底した無視...

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