第78章

二人は息を切らしながら産婦人科の診察室へ駆け込み、唐澤心美が「バンッ」と勢いよくドアを閉めた。彼女は新谷音羽の肩を支え、椅子に座らせる。真っ青な顔色と、額に滲む細かな冷や汗を見た途端、涙がこぼれそうになった。

「大丈夫? お腹、痛くない? どこか変じゃない?」

心美は落ち着きなく診察室を行ったり来たりしながらナースコールを押し、医師を呼ぶ。同時に、手が震えるままスマホを探し出した。

「平気……」

音羽は何度か深呼吸して、暴れる心臓を無理やり鎮めようとする。けれど両腕はずっと、腹を庇うように固く抱えたままだった。

心美はその言葉を信じない。すぐに産婦人科医へ連絡し、診てもらうよう手配...

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