第82章

蒼井沢言の顔色は、今にも黒い雫が落ちてきそうなほど沈んでいた。ここ最近、厄介ごとが立て続けだ。――あいつらは全員、許されない。

病院を出てホテルへ戻るなり、彼は新谷音羽をソファに座らせた。自分はその前に片膝をつき、見上げる。黒い瞳に滲むのは、拭いきれない不安と自責だった。

「すまない。守りきれなかった」

音羽は首を横に振り、彼の眉間の深い皺にそっと指を添える。

「あなたのせいじゃないよ。私がうまく処理できなかっただけ」

「違う」

蒼井沢言は彼女の手を握り、唇に軽く落とした。言い切る口調は、拒む余地を与えない。

「俺の判断が甘かった。この環境じゃ、もう安心して身体を休められない」...

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